郷土資料室のこと

 三里小学校の郷土資料室は、校内の3つの空き教室を利用して、生活や暮らしの道具、農業や養蚕、漁業、造船といった地域の産業に関する道具などを多数展示しています。
 また、開校120周年記念事業の一環として、
写真資料集『三里小の郷土資料室に見るいとなみの道具たち』を発行、資料室に収められている貴重な民具を「生活・暮らし」「農業・養蚕」「漁業・造船」に分類し、子どもたちにも理解できるように写真を中心に、使用方法など説明を分かりやすく掲載しました。  ここではその内容の一部を紹介しています。
 
 
三里小に郷土資料室が出来るきっかけとなったのは、1980(昭和55)年に三里小の創立100周年記念事業のひとつとして資料展が開催されたことです。資料展では地域から集められた民具や古い写真などが多数展示されました。
それらの資料を児童の学習に役立てて欲しいということになり、民具や写真パネルなどの大部分が三里小学校に寄贈されました。しかし、そのころの三里小は、急増する児童(当時1364人)の教室確保のためにプレハブ教室を増設して対応しているありさまで、資料室どころではなく、資料は倉庫に眠ったままになりました。
1987(昭和62)年、ようやく地区内に2つめの小学校が建設され、児童数が半分(当時724人)になり、教室に少し余裕が出来たこともあって、当時の校長先生がそれぞれの資料に 簡単な説明を付して、資料室として整備したのが、郷土資料室の始まりです。ところが、たくさんの資料を1教室にすべて収容したために、所狭しと置かれた展示物の間を縫うように見て回らなければならず、授業で活用するにはまだまだ不便な環境でした。
結局それからの10年間は手つかずになってしまい、児童たちにとっては「何の部屋か?」と不思議な空間になっていたようです。
「このままではもったいない」と感じた校長先生の依頼で、三里史談会理事の田辺寿男さんが資料室の整備に取りかかりました。ひとつひとつの資料を写真にとり、採寸をし、使用方法などを記した台帳を作成する一方で、内容的に充実した資料室にするために、追加資料の収集も始まりました。壁面に展示した写真パネルも含め、全ての資料に説明をつける作業はPTA文化部員が分担して行うなど1年がかりの整備を終え、ようやく授業で活用できる資料室として生まれ変わったのは1998(平成10)年のことです。
せっかく出来た資料室に関心を持ってもらいたいと思う気持ちから、三里史談会は、PTAの行う年1回のイベント『夢ひろば』に参加、「三里むかしクイズ」など子ども達との交流も深めてきました。
2000(平成12)年、三里小学校が開校120周年を迎えるにあたり、記念事業として、郷土資料室の資料を授業で十分に活用出来るようなテキストを作ろうということになり、開校120周年実行委員会で資料室整備と資料集作成のための予算化が決定しました。こうして、2教室から3教室(部屋ごとに分類)へ、順路も考慮した資料室へのリニューアルと、「写真資料集 三里小の郷土資料室にみるいとなみの道具たち」が完成しました。
現在は、校内の授業で利用する一方、校外からの見学にもあり、小学校に開設された郷土資料室としては高い評価を得るまでになっています。三里史談会とPTA文化部が中心になって、年1回の郷土資料室の大掃除と、PTAのイベント「夢ひろば」での「三里むかしクイズ」は、恒例行事として定着しつつあります。
 
※三里史談会は1980(昭和55)年の三里小創立100周年記念事業実行委員会のメンバーが中心となって1982(昭和57)年に設立されました。